暮らす惑星(仮にゴーン星と呼ぶ)があり、
あなたはゴーン星人の家族に
飼われているペットだと仮定しよう。
この星では人間はゴーン星人の
コンパニオン・アニマルである。
ゴーン星人はテレパシーと目の動き、
それに甲高いキーキー声を
複雑に組み合わせて意思を通わせている。
しかし言語を意思疎通の手段とする人間の頭では、
ゴーン星人の言っていることは
ちんぷんかんぷんである。
ただこれまでの経験から、
いくつかの音の意味は聞き分けることができる。
ゴーン星人と人間は強い絆で結ばれているが、
ゴーン星人の社会には人間が
守らなければならないルールがたくさんある。
人間は限られた情報から
ルールの内容を理解しなくてはならないが、
果たしてその解釈が正しいかどうかは
いつも出たとこ勝負である。
幸運にもあなたは室内で
飼い主と生活を共にしているが、
ほとんどの人間は、
庭の小さな小屋に鎖でつながれて飼われている。
屋外で暮らしていると
めったに人と接することがないので、
人間はゴーン星人が近づいてくると
嬉しさを抑えきれずについ大騒ぎしてしまう。
この様子を見たゴーン星人は、
「人がくるたびにこれほど大騒ぎをするのだから、
この人間を室内で飼うのは無理だ」と思っている。
さて飼い主であるゴーン星人の家には、
陶器の鉢がたくさん置かれている。
器には水が入っていて、
水が流れる仕組みになっている。
しかしその器で用を足そうとすると、
必ず近くにいるゴーン星人が飛んできて、
思いっきり叱られる。
だからあなたは、ゴーン星人が留守の間にしか、
そのトイレのようなものを使わないようにしている。
飼い主が帰宅すると、
ときどきトイレの中に頭を突っ込まれるが、
その理由はさっぱり分からない。
いずれにしてもそんなことはされたくないので、
飼い主が帰ってきたときには
できるだけ機嫌をとるようにしている。
その態度を見た飼い主は、
あなたが罪の意識を感じていると考えるが、
もちろんあなたには全く身に覚えがない。
それだけではない。
ビデオを見ても、本を読んでも、
他の人間に話しかけても、
ピザやチーズを食べても、
手紙を書いてもゴーン星人はあなたを叱る。
ゴーン星人にとってこうした行いは
全て問題行動なのだ。
正気を保つために、ここでもあなたは
飼い主がいない間を狙って好きなことをし、
飼い主が周りにいる時には、
じっと前を見たまま静かに座っていることにした。
すると飼い主は、
やろうと思えばお行儀よくできるのに、
独りになると悪いことばかりするのは、
あなたに「悪意」があるからだと考え、
きっと独りにされるのが嫌なのだろうと結論した。
そこで1日に何度かあなたを散歩に連れ出し、
独りになった時の退屈しのぎに
クロスワード・パズルの本を与えてくれた。
しかしあなたは
クロスワード・パズルが嫌いなので
一度も本を見ようとしない。
その様子を見た飼い主は、
あなたが腹いせにせっかくの好意を
無視しているのだと思い込む。
一番やっかいなのは、
あなたが飼い主を好きだということだ。
飼い主だって普段はあなたをかわいがってくれている。
ところがあなたが飼い主に向かって
ニッコリと笑いかけると、叱られる。
握手をしてもいけない。
謝るとまた叱られる。
あなたは子どもの頃からずっと
他の人間に接することなく育ってきたため、
道で人間を見かけると、
興味が抑えきれず過剰な反応を示してしまう。
ときには相手を怖がることもある。
どのように振る舞ったらよいかが
全く分からないのだ。
その様子を見た飼い主は
あなたを他の人間には近づけまいとする。
だからあなたはいつまでたっても
付き合い方を身につけることができない。
とうとう飼い主はあなたを
「しつけ」教室に連れていくことにした。
トレーニングでは首の回りに金属製の鎖をまかれ、
それをしょっちゅう引っ張られるので、
そのたびに息がつまって苦しい思いをする。
ゴーン星人はあなたが、
彼らの出す甲高い音やテレパシーの意味を
一語一句理解していると信じ込んでいる。
これはときどきあなたが相手の言葉に
正しく反応するからかもしれない。
(ただの当てずっぽうなのに)。
あなたはトレーニングが大嫌いで、
いつも大きなストレスを感じている。
ある時、一人のゴーン星人が
トレーニング用の首輪を手にこちらに近づいてきた。
その日あなたは身体の節々と首に痛みを感じており、
もうこれ以上訳の分からないことを
やらされるのはごめんだ、
という気分になっていた。
そのためこれまでになくきつい調子で
「一人にしておいてくれ、どこかへ行ってくれ」
と叫んでしまった。
ゴーン星人は、あなたが訳もなく
攻撃的な態度をとったことに
ショックを受けた。
これまでおだやかな性格の人間だと思っていたからだ。
ある日、ゴーン星人はあなたを車に乗せ、
ドライブに連れ出した。
車窓を美しい風景が流れていく。
どこに行くのだろう、とあなたは考える。
やがて車は止まり、
あなたは建物の中に連れて行かれた。
そこは人間の汗と排泄物の匂いが
充満するひどい場所だった。
いたるところに小さなケージがあり、
人間が閉じ込められている。
ある者は怯え、
ある者は絶望の表情を浮かべている。
そしてほぼ全員がケージの中から
ことの成り行きを見守っている。
これまでの人生をずっと共にしてきたゴーン星人は、
あなたを見知らぬ相手に引き渡し、
あなたは小さな部屋へとひきずり込まれた。
あなたは恐怖を感じ、
飼い主一家に大声で助けを求めたが、
飼い主は背中を向けて、建物から出て行った。
あなたは上から押さえつけられ、
注射針を突き立てられた。
致死量の薬剤を注入されたのだ。
人道的にあなたを処分するには、
こうするしかなかったのだ。

ザ・カルチャークラッシュから
抜粋してしまいました。
センターに収容される犬たち、
こんな思いをしている子達ばかりだろうと
思うと、胸が締め付けられる気がしました。
犬には人間の言葉やルールは分かりません。
犬の心を擬人化しないで
人間とは違う生物だと理解し、
犬に分かりやすく、伝わるように
人間が教えてあげられたら、
処分頭数も減るのでは・・と思います。
「うちの犬は馬鹿犬で・・・」
なんて言っている飼い主は、
犬との接し方が間違っているだけの事・・・
なんじゃないのかな。。。
犬というものを理解する上で、
非常に役立つ本です。
頭のどこかではちゃんとわかっていたはずのことなのに、やはりどこかで擬人化していたのだろうと。
センターに連れていく人たちにも是非、手にとって読んでほしいですね!!
センターに行く人達に読んで欲しいですね。
でも、通じるかな〜〜〜(><)
・・・犬と人間は違う動物だという事、
人間側で理解し、分かりやすいように
犬には伝えないとダメですね。
未来ちゃん、とても幸せに暮らしていますよ。
飼い主さんに最高に愛されています。
たくさんの人に読んで欲しいですね。